京都三条会商店街

祇園祭と又旅社の関係

貞観11年(869年)京の都に疫病がはやり、
神泉苑に当時の国の数の66本の鉾を立て
祇園社より神輿を迎えて祈祷を行なったのが
「祇園祭」の始まりです。
又旅社は、広大な神泉苑の南端に当たる、
御霊会が行われた地に設けられた
「斎場」の地に建つ祇園祭発祥の社です。

祇園祭関係の祭事(又旅社にて)

7月23日   オハケ清祓い式(きよはらい)
オハケとは、水辺を表す芝生に神の依り代でる
御幣を建てた物(池のほとりに見立てた斎場

7月24日   祇園祭(還幸祭)又旅社「奉饌祭」

7月25日  千団子 お授け
「奉饌祭」にお供えした、無病息災を祈願した
団子を地域の方に振る舞います

又旅社祭事

4月第三日曜日 春季祭並蘇民将来祈願祭
10月第三日曜日 秋季祭並神恩感謝祭
いずれも、限定の「木札守」が配られます
町名の「御供町」は、祇園祭の際にお供えを奉じる
事が由縁で出来た町名です

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「祇園祭 よもやま話」

日頃余り耳にしないマニアックな「祇園祭 よもやま話」を
3回に分けてお届けします。

第一回「祇園祭は、八坂神社だけでは行えない」
   (二つの神社で行われる祇園祭)

祇園祭は、八坂神社を代表する、また、日本を代表する
大きなお祭りですが、
実は、二つの神社によって成り立っています。

八坂神社の神輿(主祭神 中御座)には、
素戔嗚尊(スサノオノミコト)が乗られますが、祇園祭は、
二つの神社の神様が合体しなければ祭りは成り立ちません。

八坂神社の、安らかな素戔嗚尊の「和御霊(にぎみたま)」と
久世に有る、綾戸国中神社の素戔嗚尊の
「荒御霊(あらみたま)」が合体する事により、
優しく力強い素戔嗚尊となられ、年に一度市中に入られ
病を癒し、氏子信者に会いに行かれます。

二つの神が(御霊)が合体している様子を表す行列が、
中御座神輿の前を先導なされる「駒形稚児」で、
胸に御神体の駒形を付けている事から「駒形稚児」と呼ばれ、
この行列を「二神一体」と言います。

祇園祭には、2人のお稚児さんがおられますが(長刀鉾と駒形)
長刀鉾のお稚児さんの位は、正五位少将(10万石の大名並み)
駒形稚児の位は 神格 (生神様)です。

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第二回「蘇民将来の子孫也」(そみんしょうらいのしそんなり)

祇園祭に携わる人は、必ずお榊に「蘇民将来の子孫也」と
書かれたコヨリを身に付けています。皆さんの家の玄関にも、
祇園祭に行かれて買われた「粽」に必ず蘇民将来の子孫也と
書かれていると思います。

今回は、蘇民将来のお話です。

「神話(由来)」
素戔嗚尊(スサノオノミコト)が、旅に出ていたある日、
やっとの事で村に着きましたがすっかり夜もふけ
宿が見つけられませんでした。困った素戔嗚尊は、
長者の蘇民コタンに一夜の宿泊をお願いしました。
しかし、コタンはむげも無く願いを断り
素戔嗚尊を追い払いました。

それを見ていた弟の’蘇民将来’は、私は兄と違い貧乏で何の
おもてなしも出来ませんが、宜しければどうぞお泊り下さいと
素戔嗚尊を招いてくれました。

その家は雨ももり、接待も粥だけの粗末な物でしたが
素戔嗚尊は凄く感謝し、翌る日の出発の時に

「そなたの子々孫々まで、必ず私が守ろう。」

と約束し再び旅に出発しました。

村を出る前に素戔嗚尊は、自分をムゲにあつかった長者の
蘇民コタンを滅ぼしてしまったと言う事です。

前回にお話しした、
素戔嗚尊の優しい心「和御霊」と荒々しい心の「荒御霊」を
あらわした神話です。

素戔嗚尊に、災いを防いで頂き無事ご奉仕できるよう、
“私は蘇民将来の子孫です。”と言う目印になる
おひねり(コヨリ)を身に付け祇園祭に参加するのです。

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第三回「祇園祭」

祇園祭は、貞観11年(869年)日本全国に大災害と疫病が
流行った為、神泉苑に当時の国の数66本の鉾(剣鉾《槍
より長い武器》)を立て「祇園社」から力の巨大な神様
をお迎えして(神輿)御霊会が行われたのが始まりです。

当時は、悪霊が疫病を撒き散らすと考えられており、
悪霊を退治するための武器を用意し、より力の強い神様
にもお助けを求めました。
(前回の東北大地震もこの年に起こっています)

平安時代の頃に、現在の様な祇園祭の形になりましたが、
名残として、今も鉾の先頭は”くじ取らず”で長刀をしつら
えた長刀鉾が先頭を切ります。

鉾は、神様が通る道を清める大事な露払いと言う役目が
あるのです。(武器で悪霊などを退治し、道を清める)鉾
により清められた道程を神様が乗った神輿が渡御します。

先祭り(神幸祭)後祭り(還幸祭)の他にも、
神輿を清める”神輿洗い”の神事が、
7月10日と28日にも行われています。

三条会の地元でも、7月23日”オハケ清祓い式”
(神様をお迎えする場を清める)24日後祭の日、
神様が来られる社にお供えを奉じる”奉饌祭”が商店街内に
ある「又旅社」で執り行われています。

奉饌祭にお供えされた、無病息災を祈願した”千団子”を、
25日に又旅社にて、皆様に御振舞いさせて頂いています。
祇園祭は、約一ヶ月間行われる長い八阪神社のお祭りです。